【短編】スキまでの距離




スキ。

その言葉が出そうで、
あと少しで言えそうなのに。

言葉よりも先に涙ばかりが出てくる。






最後の一歩が踏み出せない。















「さあ、遅くなったら心配されるだろ?
もう帰ろう?」




そう言って歩きだしてしまった。

あたしもその後ろをゆっくりと歩く。

何も言えないまま。







そのまま気まずくて。
言葉を探していたら家に着いてしまった。