左だけ伸びた灰色の前髪から覗く、翡翠色の瞳があたしを直視している。 「庭師が屋敷に何の用だよ?」 もともと少しつり上がった目をさらに斜めにつり上げて、カナンはあたしを咎める。 「お前、自分の立場分かってんのか?」 何も言えなくて俯くあたしに、カナンが呆れたように溜め息を吐いた。 「だから俺はお前の面倒を見ないといけないんだ。いいか、勝手な行動はするな」 「……だって」 おめでとう、とたった一言。言いたかった。 それだけなのに。