腹の底からなにか得体のしれないものが沸き上がってくるような、この悍ましい感覚はなんだろう。
『婚約者候補』
言葉の意味が分からないわけじゃない。
ただ、理解するのに時間がかかった。
婚約者、誰の。
…リタの。
「あら、そうゆう積極性も私の取り柄ですもの。ただ見ているだけなんて、いやですわ」
「まあっ!」
「選ばれるのを待っているだけなんて、誰が決めたんですの?あなた方も私に嫉妬するよりも行動いたしたらどうです?」
黒髪の人は悔しそうに唇を噛み締めて、何も言い返さなかった。
「と、ともかく!勝手な行動は慎んでいただきますから!さもないとどうなっても知りませんわよ!」
「あら、こわいわ。どうなってしまうのかしら」
「………っっ」
多勢に無勢という言葉があるけれど、今のユラハにはきっと通用しないだろう。
数人に囲まれたって、少しも怯まず、余裕の笑みすら浮かべて立っているのだから。


