欠陥ドール




離れた二人を見て、ホッとしてる自分がどこかにいた。


彼女自身も、どこへ向かうのか、踵を返し歩き出す。


「ちょっと、ユラハ様!」


それを呼び止めるのは、新たな声。


タイミングを見計らったように、物影から次々と出てくる女の人の集団。



「少しお話がありますの」


真ん中にいる、艶やかな黒髪の人を筆頭に、何故かみんなピリピリしている。


楽しくお話をするような雰囲気じゃないことは、あたしでも分かった。



「あら、こわい」



なのにユラハは余裕とでもいったように、上品な笑顔を浮かべ後をついていく。


それに、あの女の人達も見覚えがある。


全員、昨日のパーティーにいた人達だ。


なぜこの屋敷にいるんだろう。遠方のお客様なら泊まっていくことはある。でも、こんなにも娘のいる家ばかり集まるなんて。




「抜け駆けなんて卑怯ですよ!」



とりあえず、カナンの言う通り監視を続けなくちゃ。


見つからないように、距離をとって。



「卑怯…?」


「そ、そうです!私達だって全員リタ様の婚約者候補です!それなのにご自分だけベタベタくっついて!」