なにが…?
全身の力が抜けてしまいそうだった。
「な、なにがって誕生日…」
リタは「ああ!」と閃いたように頷いた。
「ぶはっ!遅っ!今さらっ、遅っ…!」
わ、笑われた…!
ケラケラと明るく笑うリタだったけど、あたしには結構なダメージだった。
た、確かにもうすぐ日付も変わっちゃうけど。朝にも一度会ってるんだから、その時に言うのが普通なんだろうけど。
……ダメだ、次の言葉が見つからない。
こんなに笑われるなんて想定外だった。
肩を落としたあたしを見て、リタは笑うのを止めてあたしの頭をコツンと小突く。
「…いやいや、悪い。すげー嬉しいよ。ありがとな」
リタは目尻に涙を浮かべてあたしの頭を撫でる。
指先から伝わるリタの温もり。優しくてあったかい。…リタは、太陽の匂いがする。
嬉しいのに、息が詰まって苦しいのは何でだろう。
やっぱりあたしはリタの前だと上手く喋れなくて、俯いてしまう。


