神経を研ぎ澄ませて気配を探る。
人の気持ちには色がある。心が澱んだやつは、真っ黒い気配がするからよく分かる。
あたしはそれを感じ取る。
あたしの特技なのに、このを話をカナンにするとよく呆れられる。理論のかけらもないナンセンスなものだって。
つまりは直感だけで動いている、動物並の野生の勘だな、と言われたことがある。褒められてるんだか馬鹿にされてるんだか分からない。
でも、何故か百発百中だからカナンも信用はしてくれてるみたい。
そして、あたしは今パーティーに参加している人達を探っていく。
真っ黒とはいかないまでも、灰色、くすんだ色の気配はちらほらといる。
どれも危険というほどのものではない。
…良かった。今日のパーティーは大丈夫そう。
リタは領主の息子。ゆえに、利用されやすい立場にある。それと、あと何か難しい事をカナンが言っていたけど、頭が痛くなるから思い出せない。
実際、あたしとカナンが来てからも、誘拐未遂事件が1度あった。
だから、リタを危ない目に合わせない為にあたし達がいる。


