あたし杉本理子。今日から中学1年生。

第一志望の東中には入れなかったけど、第二志望の西中に入れてよかったって思う。


だって、西中は制服可愛いし、結構人気。


だから、入学式は一番乗り…
って、思ってたんだけど…



「う…わっ」


バサバサバサッ


「あ〜落としちゃった…」
中学生で初めてのスクバの中身を全部落としてしまった。


チャック開いてたなんて〜!


「どうぞ…」

拾ってくれたのは……

…すっごいイケメン!

でも…なんか…

不思議オーラ?
が…漂ってるんですけど…。

「あ…どうも」

「おーい!学ー!早く来いよー!」

「わかったって!
……じゃ、気をつけて」

それだけ言って、行ってしまった。

”マナブ”って、言うのかぁ……。

あの制服は確か…東中…だよね…。

あっ…シャーペン…?
あの人の…だよね?

あ〜。

行っちゃったよ…。

……決めた。
渡しに行こう。

て…あ〜〜!!
忘れてたー!

入学式〜!!

遅刻する〜!!

走るしかな〜い!!

で、ダッシュで走ってたんだけど……

ズサッ

あたしはその場で転倒した。
ほんっと、今日のあたし、ついてないなぁ……。

「いったぁ…」

「お前…」


誰?
同じ学校…。

赤いバッチだから、1年だ…。

ちなみに、西中はバッチで分けていて、1年が赤、2年が青、3年が緑。

「何よ。」

「ダッセー」

ムッ…カァ…

サイアク!

「ほらよ、手」

「はっ」

手を差し伸べてきた。
こんな奴、て、思うけど…
痛い。

もう、しょうがない……

あたしは、

手を、握った。

「名前は?」

「…へ?」
変な声、でちゃった。

あわててあたしは、
「あんたは?
名前。」

「真田陸。陸って呼べ。」

コイツ…俺様だ…。


「あたしは…杉本理子。
理子って呼んでいい…ケド…。」