目なんかウルウルさせちゃって……。
「芽衣?」
俺は今にも抱きしめたい衝動を抑えながら芽衣を呼んだ。
すると芽衣は潤んだ目で俺を見上げた。
こうやって……無意識で上目遣いなんかしちゃって……。
俺に負けたくないって。悔しいからって。意地張ってこんな夜中から寝ずに練習して。
可愛い手もこんなに傷だらけにしちゃって……。
俺は胸を締め付けられた。
そして我慢できなくなった俺はギュッと力一杯芽衣を抱きしめた。
「どんだけ……俺を夢中にさせるんだよ」
掠れた精一杯の声で芽衣の耳元で呟いた。
「どんだけ俺を夢中にさせれば気が済むんだよ」
そう言って俺はさらに抱きしめる力を強めた。

