「でも、物音がしたからつい……」
そう答えると、芽衣は深く溜め息をついた。
「とにかく……キッチンから出てって」
そう言って立ち上がって俺の腕を掴むと、俺を立ち上がらせた。
そしてグイグイ背中を押して俺をキッチンから追い出そうとする。
「ちょっ待ってよ。芽衣」
俺は慌てて背中を押している芽衣の手を掴んで芽衣を止める。
暴れる芽衣を無視して芽衣と向き合うと、掴んだ手を見る。
これ……。
俺は芽衣の手を見て動きを止めた。
小さな綺麗な可愛い手には似合わないほどのたくさんの絆創膏が指先に張られている。
すると芽衣はバッと手を振り払って後ろに隠した。
俺は手を気にしながらキッチンを見渡した。
するとテーブルには作りかけのからあげとか、たくさんのおかず……。

