アナタがいたから

「乱暴なんだから~。何歳だろうとどんな風貌だろうと、このお嬢ちゃんは僕達一族の主になる人でしょ~」
(……その言い方も酷くない?悪かったわね20代になってて)
プクッと2人の会話に頬を膨らませた私だったが、袁が言った一言が頭に引っかかった。
「ちょ、あ、あの……お話の最中申し訳ないけど」
「何だよ?クソチビ」
「(フッ、チビで悪かったわね……)主って何?一族って?」
「屋敷に着いたら説明してやるよ」
フンと鼻を鳴らして横目で私を見て燿はスタスタと数歩前を歩いていく。
「……な~によ、偉そうに」
「ごめんね~悪いやつじゃないんだけど。予想が外れてくさってるんだよ」
ぼそっと呟いた私の言葉に袁が小さな声で言った。
「予想って?」
「あはは……後で分るよ」
「ふ~ん……。まいっか。それより、ココは何処?私職員室にいたはずなんだけど……」
「しょ、職員室?何だそれ?」
「(わかんないの?……学校自体が分らないのかしら?)う~ん、とにかくココって何処?」
「ココはね~聖都メルベスだよ~」
「……聞いた事無いけど、なんていう国の首都?」
「聞いた事ないのは当たり前だよ~お嬢ちゃんはこの世界に召喚されたんだ。僕達の一族の掟に従ってね」
「この世界?」
「ここはね~お嬢ちゃんがいた世界とは違う世界なんだって。僕も良くわかんないんだけど、大丈夫。家に着いたらパパが説明してくれるはずだからさ~」
ニッコリ微笑みながら言う袁の言葉に、不思議と冷静だった私の頭がグラリと揺れ動いた。