アナタがいたから

「あ、あの……私何か悪い事……」
「……いえ、悪いことと言うわけではありませんが」
そう言って、泪さんは私の頬から手を離し、フゥと溜息を1つついて、私に聞く。
「凛殿、どうやって地下へいったのです?」
「え?」
どうやって……そう聞かれて私は固まってしまう。
実際、どうやって行ったなんて自分でもわからないのだから、それを説明しようも無かった。
「あの……どうやってって聞かれてもわかんないっていうか……」
「分らない?」
「ココを飛び出して、飛び出したときには既に私、大泣き状態だったから、何処をどう歩いたかなんて分んなくって……気がついたらそこに居たって感じだから」
そこまで私の話を聞いて、泪さんは考え込んで何も言わなくなってしまった。
(えっとぉ~~そんなに重要なことなの??)
考え込む泪さんの横でどうしようかとオロオロしていると、枉君が口を開く。
「……梟兄に会って、よく怖くなかったな」
「え?……どうして?」
「どうしてって、梟兄は既に人の姿をしてなかっただろう?」
枉君の言葉に私は目を見開いた。