アナタがいたから

「その昔、我等を救ってくれた光麗が居たんだ」
(……光麗、梟さんの話してたことかしら?)
「その光麗が自分の世界に変えるときに僕達鬼龍王の一族に残した言葉があってね。【鬼龍王の一族、危機に瀕した時、我を呼べ。我の名を持って我を呼べ。我が名は零凛】」
「れ、零凛?!」
私はその名前を聞いて思わず叫んでしまった。
行き成り大声を上げた私に驚いて、聖君が聞いてくる。
「な、何だよ凛。急に大声で……」
「だ、だって……零凛って私の曾々祖母ちゃんの……」
そう、それは私の曾々祖母ちゃんの名前だった。
忘れるはずも無い。
私が生まれたと同時に亡くなったと聞かされ続けてきた名前。
私の呟きに泪さんが言う。
「やはり、凛殿は光麗だったのですね……」
微笑みながら言う泪さんの言葉に余計にパニックを起した私は、ベッドの端に腰掛けていた体をズルズルと後退させて、皆から離れた位置でブルブルと首を横に振った。
「そ、そんな事……急に言われても何すれば良いのかとかわかんないし、第一、零凛祖母ちゃんは私が生まれたと同時に亡くなったって聞いてるだけで……」
「……生まれたと同時に。そうですか、ではやはり凛殿が零凛様の意思をついだ方」
「だ~か~ら~!そうじゃなくって!」
困り果てて半べそをかいている私の代わりに聖君が泪さんに言う。