可愛いとか綺麗ならまだしも面白いって表現はどうなんだろ?って思いながらも、豹君に促されて首に腕を回してしっかり抱きつく。
(……聖君と同じ体型に見えたけど……聖君よりもスッゴク筋肉がついてるのね)
そんな事を考えていた私は、あんなに抱っこされる事に赤面していたのに、こう何度も抱っこされると、さすがに豹君は思っていた以上に軽々と木の枝から枝へと飛び移り、予想していなかった木の高さに私はギュッと目を閉じて豹君の胸の中に顔をうずめる。
(ぎゃ~~こ、怖いよ~~落ちる!)
声にならない叫びを心の中で叫んで、風を切って進む豹君にしがみ付いた。
暫くして、ストンと言う衝撃を受け、風も飛び跳ねる感覚も無くなった時、そっと眼を開ける。
目に入ったのは見覚えのある玄関で、屋敷についたと言う事が分り、豹君の顔を見上げれば、顔を真っ赤にしていた。
「あ、あの……ごめん。重かった?」
「え?」
「顔、真っ赤だよ?重かったから大変だったんでしょ?ごめんね……」
「ち、違っ!り、凛は重くないよ……」
「そ、そう?」
豹君の顔はどんどん赤くなって私から視線を外し、コホンと1つ咳払いをする。
(……何?どういうこと??)
首をかしげて豹君をジッと見ていると、後ろから枉君が声をかけてきた。
「……なんだ、居たのか?」
その声に体をビクンと揺らした豹君は黙って頷き、私を下ろして、玄関へとスタスタ歩いて行ってしまった。
ひとりその場に残されキョトンとする私の横に立った枉君はポンポンと私の頭を叩き、腰を折って覗き込むように聞く。
「大丈夫か?」
「う、うん……ごめんなさい。心配かけて……」
「かまわん、さっきのは親父が悪い。女は誰でも言う事を聞くと思ってるからな」
「何それ?何様?!」
ムッと顔を歪ませて言う私に枉君は噴出すように笑った。抱っこされるれることに慣れてきていた。