アナタがいたから

(……これまた凄い光景だわ)
部屋を入ってきた美形は聖と燿を除いて私を囲むように座って、微笑んでいる。
ココは何処かのホストクラブですか?といわんばかりの美形の微笑みの嵐に私の頭の中はクラクラしつつあった。
「色々と凛も聞きたいことが多いだろうが、まずは自己紹介から始めようと思う」
「そ、そうね、名前が分らないとどうしようもないもの……」
「まずは私。既に自己紹介は済んでいるが翳(えい)だ。この兄弟の長男で28歳となる」
「優しいように見えて一番厳しくて、怖い存在だぜ」
翳さんの言葉に聖君がニヤニヤ笑って付け足したが、コホンと1つ咳払いをした。
「聖、黙っていなさい」
「へぇ~へ、了解」
呆れたように溜息をついた翳さんは続ける。
「で、コッチの銀色の長髪をしたのが……」
「次男の泪(るい)、24歳になります」
瞳を閉じてニッコリッ微笑んで泪さんは私の手をそっととってその手の甲に口付けをする。
「あ、玄関ではどうも……」
「クス、いえ、あの父上に向かっていく女性の方がいるとは思っておりませんでしたから楽しかったですよ」
泪さんの言葉に私は思わず引きつった笑みを浮かべてしまった。
「そうか、泪は玄関に出ていたのだな?」
「はい。枉(おう)と豹(ひょう)も一緒に……」
コクリと頷いた2人を翳さんが紹介する。
「こっちのふてぶてしくて、視線鋭い緑色をした短髪の男が……」
「枉(おう)、18だ」
「え?!18?」
「何だ?何か不満か?」
「いや~ごめん、18に見えなかったから……あまりに落ち着いてて」
アハハと笑って頭をかいてそう言った私に枉君は少しムッと口を尖らせてそっぽを向いてしまった。