「ねぇ、自分で歩けるから下ろしてくんない?」
そういう私に聖君はチラッと私の足を見た。
「そんな変な靴はいてて本当に歩けるの?」
「変な靴?」
足を見てみれば私は学校の名前の入ったスリッパを履いている。
(あ、そっか、職員室で拉致られてるからスリッパなんだ……ま、歩けなくは無いけど)
私は私を横抱きにして、私の顔を覗き込んでくる聖君を見て思った。
(でもま~折角のお姫様状態なんだからもう少しこの状態でも良いかも?)
この20数年間で、お姫様抱っこなんて始めて。
せっかくだから味わっておこうかな~なんて不純なことを考え出したその時に、玄関を入った真正面にある広いエントランスの先の大きな階段から聞き覚えのある嫌な声がした。
「やっぱりババァじゃん、抱っこしてもらわないと歩けないほど足腰弱ってんだ」
「ふぬぅ!なんだと!?」
「聖兄ちゃんに抱っこされてさ~全くババァにも困ったもんだ」
「ぬぁぁあぁ!このクソガキがぁ!言わせておけば!!さっきからババァババァと!」
イライラが一気に頭まで駆け上がってきて私はいつもの調子でスリッパを手に取ると、階段の手すりに寄りかかりながら楽しそうに笑う燿を目掛けてスリッパを放り投げる。
勢い良く回転して飛んでいったスリッパは見事、燿のこめかみ辺りにヒット!
エントランスにスパーンと言う良い音がして、ポタリと床にスリッパが落ちる音がした。
私は呆然としている聖君に自分を下ろすように頼むと片足でケンケンをして燿に近づき、落ちているスリッパを履いてこめかみを押さえる燿の目の前で仁王立ちする。
「どぉだ!ざまぁ~みたか!」
「……飛び道具とは卑怯だぞ」
「口の減らないガキには飛び道具が一番。我ながらコントロール抜群だわ♪」
「チンチクリンが偉そうに……」
「デカけりゃいいってもんでもないのよ。要は腕よ、腕」
口を尖らせチェッと舌打ちをした燿にフフンと得意げに胸を張る私に階段の上から低い声が聞こえた。
そういう私に聖君はチラッと私の足を見た。
「そんな変な靴はいてて本当に歩けるの?」
「変な靴?」
足を見てみれば私は学校の名前の入ったスリッパを履いている。
(あ、そっか、職員室で拉致られてるからスリッパなんだ……ま、歩けなくは無いけど)
私は私を横抱きにして、私の顔を覗き込んでくる聖君を見て思った。
(でもま~折角のお姫様状態なんだからもう少しこの状態でも良いかも?)
この20数年間で、お姫様抱っこなんて始めて。
せっかくだから味わっておこうかな~なんて不純なことを考え出したその時に、玄関を入った真正面にある広いエントランスの先の大きな階段から聞き覚えのある嫌な声がした。
「やっぱりババァじゃん、抱っこしてもらわないと歩けないほど足腰弱ってんだ」
「ふぬぅ!なんだと!?」
「聖兄ちゃんに抱っこされてさ~全くババァにも困ったもんだ」
「ぬぁぁあぁ!このクソガキがぁ!言わせておけば!!さっきからババァババァと!」
イライラが一気に頭まで駆け上がってきて私はいつもの調子でスリッパを手に取ると、階段の手すりに寄りかかりながら楽しそうに笑う燿を目掛けてスリッパを放り投げる。
勢い良く回転して飛んでいったスリッパは見事、燿のこめかみ辺りにヒット!
エントランスにスパーンと言う良い音がして、ポタリと床にスリッパが落ちる音がした。
私は呆然としている聖君に自分を下ろすように頼むと片足でケンケンをして燿に近づき、落ちているスリッパを履いてこめかみを押さえる燿の目の前で仁王立ちする。
「どぉだ!ざまぁ~みたか!」
「……飛び道具とは卑怯だぞ」
「口の減らないガキには飛び道具が一番。我ながらコントロール抜群だわ♪」
「チンチクリンが偉そうに……」
「デカけりゃいいってもんでもないのよ。要は腕よ、腕」
口を尖らせチェッと舌打ちをした燿にフフンと得意げに胸を張る私に階段の上から低い声が聞こえた。
