あたし達以外に誰も居ない教室。

聞こえるのは蝉の鳴き声と、甲子園には予選落ちしたというのに終業式の日まで練習に励む野球部の声。

教室でも暑いのに、外は更に地獄だろう。


…ってあたしはそんな事を考えてる場合じゃない!

「梨優……」

机の向かい側から顔を近付けてくる龍之介。

なんでこんな展開になるのよ!

『ちょっ…龍…!』

「…なに?」

さっきの意地悪な顔とは一変、いつもと違って真剣な顔をしていた龍之介が軽く微笑んで言ってくる。

うっ…ズルい……。