「なぁ梨優~…」


困った声の龍の方へあたしは振り向く。


グイッ!


「えっ……」


チュッ


「は?え?」


龍のYシャツの襟を引っ張って、唇に付くか付かないか、ギリギリの場所にキスをして笑ったあたし。

『ん~お腹空いた!待たせたんだから何かおごってよね?』


龍から手を放すと、あたしは伸びをしながらまだ驚いてるっぽい龍に言う。


普段お調子者の癖に、時々真面目な顔をしてあたしの調子を狂わせるこの男。


こんな男に何だかんだ流されてしまう時もある。


でもね、くやしいから主導権なんて当分握らせてやらない。

あたし以外に目を向けることも許さない。


あの日から龍はあたしのものなんだから!!


「奢るから、梨優さっきの続き…」

『調子に乗んなバカ!』



【END】