女王様とお調子者 **恋の花が咲いた頃**


ふと、あたしの手元にある学ランを思い出す。


『これ…』

「あぁ!忘れてた」


あたしの手から学ランを受けとる佐伯。

『…何でここに置いてあったの?』

「ん?あぁ、梨優を運んでる時に掴んだまま離さなかったから。無理矢理はがすのもなと思って」


あの夢の中で掴んだのは佐伯の学ランだったんだ…。

ふわふわと浮かんでるように感じたのも…。


「でも良かった…。何でも無くて…」


ほっとしたような顔で優しい表情を見せる佐伯。


その笑顔に一瞬目を奪われる。

だけど…次の瞬間にはあの女の人が浮かんで来る。


『…もう大丈夫だから。帰ったら?』


出来るだけ冷静に、感情を表に出さないように言った。


「え、送ってくよ」

『良いよ、送らなくて。もう遅いし、先に帰って』


あたしの理性が保たれてるうちに早く居なくなって…。