廉君の声があたしの想いを包み込むように胸に染み込んでくる。

ずっとずっと好きだった。

あの日この場所で眠っていた彼にそっと唇を寄せたときから




耳に届く彼の言葉がまるで夢の中の出来事のように遠くに響く。

現実なのだと確かめたくて、彼の元へと歩み寄ると手を伸ばしその腕に触れた。

廉君の温かい体温と、緊張の為か腕から伝わる僅かな震えがこれを現実だと教えてくれた。

悲しみの涙が幸せの涙に代わるのを感じる。

心があなたを求めている。

「あたし…廉君が好き。春にここであなたを見かけてからずっとずっと好きだったの。」

あたしは廉くんに微笑んでいられたのかしら。

あまりにも嬉しくて涙が止まらなくて…あたしの表情は泣き笑いだったに違いない。

触れた先から二人の胸の鼓動が伝わり頬が熱くなるけれど

互いの鼓動が同じリズムを同じ速度で打っているのを感じて心が満たされていくのを感じる。

緊張で僅かに震える指があたしの身体をふわりと抱きとめてくれた。



とたんに心がもっとあなたを知りたいと騒ぎ出す。



あなたが好きです…廉君。



あなたをもっと知りたい。



もっと…好きになってもいいですか。