冬のロマンス

 ローファーの上に押し倒され、コートの襟の隙間に唇が寄せられる。唇ほどではないが首筋も冷えていた。
 「・・・ほら、まだ体が冷たいよ。もうすぐ風呂の用意できるから、入ってきなよ」
「わかった、わかったから・・・っ」
予想外の場所に直に触れられて、はっきりいって沙成は焦っていた。触れられるのが嫌なのではない。ただ心の準備が出来ていないのだ。・・・大体、キスだってさっき始めてしたばかりなのに。
 「ーなんだったら、いっしょに入ろうか?」
「いらないっ」
「・・・つまんないの」
口で言うほど本気ではないらしい。唇の行き先も、首筋から額に変わった。甘やかすように、冷えた額や鼻にキスを送る。沙成も今度は拒まずに、哲平の背中に腕を回してキスの雨を甘受した。