冬のロマンス

 優しいキスが、二人を繋ぐ。
 触れて離れて・・・、もう一度角度を変えて触れる。啄ばむような口付けに、沙成は甘えるように応じた。
 唇を放し、頭ごとすっぽり沙成を抱きしめた哲平は、くすすと笑った。
「何かさっきのってさ、結婚式の誓いの言葉みたいだったよなー」
「な、何言って…」
うろたえる横顔に、そっとキス。もう遠慮なんてするつもりはさらさらなかった。
 「今夜は取りあえずキスだけで見逃すけど、最終的に俺は沙成が欲しい」
「馬鹿たれ! 五年早いわ、このマセガキ!」
「…そーゆーこと言うと、このまま襲うぞ!」
「やだやだ!」
じたばたと沙成は年下の恋人の腕の中でもがく。本人必死で抵抗しているつもりらしいのだが、傍目からは出来立ての恋人同士のじゃれあいにしか見えなかった。