「そんなに、嫌?」
気分を害するよりも、なぜそんなにも沙成が自分とのキスを嫌がるかわからなかった。さっきだって抱きしめたら、嬉しそうに自分から腕を回してきたくせに。・・・わざわざ哲平を迎えに来たくせに。出会ってから三ヶ月。ケンカして、沙成から折れたのは今回が始めてだった。
「約束しろよ。…そしたら、良い」
「約束? 何の?」
「ー俺を一人にしないって言う、約束」
今回のことが余程こたえたのだろう。怖がるというより、縋るように沙成は哲平を下から覗き込んだ。・・・そんな可愛い事をされたら、理性など簡単に飛んでいってしまうと言うのに。
視線を絡ませたまま、哲平はローファーの背もたれに沙成の肩を押し付けた。髪と揃いの栗色の瞳が不安げに揺れている。そんな表情さえ愛しいのは、惚れた欲目だろうか。
「約束する。今泉哲平はこの先何があっても、西枝沙成を独りにはしない」
「・・・嘘ついたら、別れてやるからな」
「嘘なんてつかないよ」
「どうだか・・・」
「本当だよ。・・・沙成、愛してる」
「・・・うん」
吐息で囁かれ、今度こそ、沙成はおとなしく瞼を閉じた。
気分を害するよりも、なぜそんなにも沙成が自分とのキスを嫌がるかわからなかった。さっきだって抱きしめたら、嬉しそうに自分から腕を回してきたくせに。・・・わざわざ哲平を迎えに来たくせに。出会ってから三ヶ月。ケンカして、沙成から折れたのは今回が始めてだった。
「約束しろよ。…そしたら、良い」
「約束? 何の?」
「ー俺を一人にしないって言う、約束」
今回のことが余程こたえたのだろう。怖がるというより、縋るように沙成は哲平を下から覗き込んだ。・・・そんな可愛い事をされたら、理性など簡単に飛んでいってしまうと言うのに。
視線を絡ませたまま、哲平はローファーの背もたれに沙成の肩を押し付けた。髪と揃いの栗色の瞳が不安げに揺れている。そんな表情さえ愛しいのは、惚れた欲目だろうか。
「約束する。今泉哲平はこの先何があっても、西枝沙成を独りにはしない」
「・・・嘘ついたら、別れてやるからな」
「嘘なんてつかないよ」
「どうだか・・・」
「本当だよ。・・・沙成、愛してる」
「・・・うん」
吐息で囁かれ、今度こそ、沙成はおとなしく瞼を閉じた。



