降り積もった雪を踏みしだいて、独り、沙成は峰波学園の校門の前に佇んでいた。
 幸が帰ってから、最低限の物だけ抱えて沙成は哲平の家を訪れたのだが、母親には怪訝な顔で「まだ学校から帰っていない」と言われてしまった。そこで彼は、やっとクリスマス・パーテイのことを思い出したのだ。
 「賑やかだなー」
 …楽しいんだろうな。
 それはそうだろう。五つも年上の、こんな怒鳴り声がうるさいだけの男の相手をしているより、こっちに来ていた方が楽しいに違いない。
 そう思うなら帰れば良いのに。
 自嘲して、沙成はしんしんと降り積もる雪を見ながら、ひたすら哲平を待った。
 どれくらいそうしていたのか。