峰波学園では、毎年クリスマス・イブに近隣の高校を集めて盛大なパーティーを開く。
 各校の代表十名づつが盛装又はドレスアップする盛大な物で、特に今年はスター的な遠野文月や森生聖里などが在籍するだけあって、例年になく派手なイベントになっていた。
 「そーいや、そんな物もあったんだっけ」
沙成自身は峰波の出身者ではない。距離的にはさほど遠くない高敷と言う公立高校に通っていた。このパーティーにももちろん参加したことはあるが、哲平が峰波の生徒だと言うことはすっかり忘れていたのだ。(実を言うと、幸も彼の恋人も峰波の卒業生である)
 「悪かったかな、やっぱり」
峰波の生徒であるなら大多数が楽しみにしているこのパーテイを蹴って、哲平は沙成と過ごしたいと言ったのだ。
 あの時の言葉は、幾らこちらに思惑があったとは言え、やはりちょっときつく言いすぎたようだ。