『哲、もう少ししたら…』
あの時、哲平に言うはずだった言葉の続き。
 『もう少ししたら店閉めるから、夕飯食ってけよ』
 今日は寒いから、哲平の好きなシチューにしたのに。
 どーするんだよ、こんなにたくさん余って! 人の話を最後まで聞かないからだぞ。もうおまえになんて作ってやらないんだから!
 …わからないけど。〈今度〉が二人の間に来るのかどうか。
 塩味のするシチューは、美味しくなんて全然なかった。