瑠璃は髪櫛を手にし、 別屋敷の方へと向かった。 「瑠璃様?」 後ろから声をかけられ振り返ると 幸が立っていた。 「どうなさったのですか。」 幸が不思議そうに尋ねる。 「千代は?」 その言葉に幸の表情が一瞬歪んだ。 「千代さんは、朝食を用意されてますけど・・」 瑠璃は食堂に向かう為、来た道を戻りはじめた。 「お待ちください、何か御用なら私がお聞きします。」 瑠璃はその声を無視し、足早に食堂へと向かった。