「瑠璃様、お目覚めですか」


梅の香りに目が覚めると同時に

寝室の外から千代の声が聞こえてきた。



「今、起きたところだ」



布団から体を起こし、ふすまを開ける。



「おはようございます、
朝食をご用意してありますよ。
今日は新しい仕え人が来るようですから
お早めにご支度下さい。」



「仕え人?」



この時期に仕え人が入ることは珍しかった。

大抵は、もう少し先の春頃や

夏に入って来る。


「ええ、九州の方から来るようなのですが」

「ずいぶんと遠くから出向くのだな」


千代に髪櫛を手渡しながら瑠璃は言った。