「千代は昔から私の傍人だ。
今更変えるつもりはない」



「しかし瑠璃様は千代さんのことをあまりよく思われていないように見えます。千代さんはもうじき、お辞めになるでしょうし・・」






「千代をよく思っていないとはどういうことだ?」







いつ私が千代に嫌悪感を抱いたりしたのだろうか。




「移譲の件に関しても、瑠璃様に何の御相談もなく」




幸は顔をしかめてみせた。






たしかに、移譲の件に関しては納得いかない。

しかしそれはそれだ。

千代のことは信頼をしているし、一目おいている。




なにより、それは久羅奈家の決まりであるのだから

仕方のないことだ。







「幸、私が千代をよく思っていないのではなくて、そなたが千代をよく思っていないのではないか」






そう言った途端、幸の顔がこわばった。






「何を仰るのですか、千代さんのことをよく思っていないなんて・・」