「あの・・。」
琥珀の言葉に異様な雰囲気が流れる。
何故、口を挿むのだ。
皆、無言のうちに全てを飲み込み
すべきことをやろうとしているのに。
「なんですか?」
千代の言葉に琥珀は臨むように口を開いた。
「瑠璃様の・・瑠璃様のご意見は
お聞きにならないんですか。
瑠璃様のお屋敷ですよね。」
予想外の言葉にその場が凍りついた。
「そう、私の屋敷だ。
この家の当主をやっている。
分かりきっておることだろう」
苛立ち気に瑠璃は言葉を発した。
「佐野さん、まだ良くお分かりになっていないことも分かりますが、それなら口を挿む権利はあなたにないのでは?」
いつもの穏やかな声の調子と
その言葉の内容が釣り合っていないように感じた。

