どんどん浮上していく。


完全に油断していた。


祐騎が梯子の中央あたりまで来た時だった。


祐騎の体に何かが巻き付いた。


シュル…


祐「なっ!?」


グンッ!


体が引っ張られる。


祐「グッ!」


ガシッ!


祐騎はなんとか梯子を掴んだ。


涼「祐騎さん!?」


涼は振り返った。


涼「なっ…!」


屋上から触手を伸ばしていたのは…フェイラーだった。


血塗れだが、平気そうにそこに居た。


流「あいつっ!」


瞳「じゃ…じゃあ、夕花達は…」


瞳は夕花達の姿を想像した。


「なんだ!?くっ…!機体のバランスが取れない!」


操縦士が言った。


祐「グァッ…!」


フェイラーは信じられない力で祐騎を引っ張った。


祐(このままじゃ…落ちる。そうなるくらいなら…)

祐騎が上を見ると流架と目があった。


そして、ふっと笑った。


流「祐騎…?まさか!」


流架は祐騎の考えている事が分かった。


流「やめろ!祐騎!」


次の瞬間、祐騎は梯子から手を離した。


そのまま引っ張られる…。

そう思った時だった。


ガシッ!


祐「!?」


誰かが祐騎を掴んだ。