今…なんつった?


俺は一瞬何を言われたか分からなかった。


遊「嘘……だろ?」


由「…………」


由李は何も言わなかった。

ただ悲しい表情で俺を見つめるだけ。


…それはその事が嘘ではない事を意味していた。


遊「そんな…いつ……」


由「昨日…両親が話している所を…聞いてしまったんですよ。今すぐってわけではないみたいですけどね」

遊「後、どれくらい…なんだよ」


由「きちんとは分かりませんが…きっと私は20歳まで生きられないと思います」

遊「!」


俺は何も言えなかった。


というより、なんて声をかければいいか分からなかった。


それなのに…由李は驚く程、冷静だった。


自分が死ぬ事を知らされてこんなに冷静に居られる…ましてやたった14歳でそんな自分の運命を受け入れられる人間は世界に何人居るだろう。


それくらい冷静だった。


遊「冷静…なんだな……」

由「……体が弱いと…自分がいつ死ぬか分からないのでいつでもその『覚悟』を決めて生きて行かなければならないんですよ。だから…なんとなく分かってましたから…そんなにはパニックになりませんでした」


微かに笑いながらそう言った。


由「―でも…」


遊「?」


由「それだけでは、こんなに冷静になれないと思います。きっと…私には家族や友達やお兄さん……何より淳志が居たから…誰かが私の近くに居たから冷静になれてるんだと思います」


遊「由李……。怖くない…わけがないよな…」


良く見てみると体が微かに震えている。


初めは自分の死が怖くて震えていると思ってた。


でも、違った。