―小実験室―


淳「これで分かったろ?兄さん」


淳志が涼しげな顔をしながら言った。


遊「うっ……」


遊志は体中切り傷だらけになって床に倒れていた。


真っ白だったブラウスは今やボロボロで血塗れだ。


夕「遊志っ!!」


夕花は遊志の方へ駆け寄ろうとしたが…


遊「夕…花…ダメだっ、来るな…っ!」


そう言われた。


夕「でもっ…!」


遊「いい…から、そこに居てくれ…!頼むからっ!」

そう言った遊志の前に淳志が立った。


淳「もう動けないだろ?大人しくそこで見ててよね。兄さん」


淳志は嘲笑しながら言った。


遊「……お前…今…どんな気分だ…?」


遊志はハァ、ハァと息を切らしながら言った。


淳「…どんな気分?そんなの嬉しいに決まってるだろ。やっと…やっと復讐出来るんだ…」


そう言ってピアスを触る。

遊「…そう…か…。俺は…俺は悲しい…よ」


ググッと少し頭を上げて言った。


淳「……悲しい?」


遊「悲しい…だろ……。血が…繋がって…る兄弟なのに……殺し合うなんてよ……」


淳「………」


遊「それとも…そんな感情まで…なくしちまった…か…?お前は…絶対に間違えてる…。こんな事…由李が望んでるとも―……」


そう言った瞬間だった。


淳「黙れっ!」


ドカッ!


遊「ぐあっ!」


淳志は思いきり蹴飛ばしてうつ伏せで倒れていた遊志を仰向けにさせた。


淳「兄さんなんかに分かるもんか!由李の事……大切な人を失う苦痛を……分かって貰ってたまるものか!綺麗事はゴメンだっ!」


淳志は完全に逆上していた。


淳「……血が繋がってるもんね。せめて、苦しまないように一瞬で逝かせてあげるよっ!」


淳志は右腕を上げた。


遊「っ!」


遊志はさっき蹴られたせいで息が苦しく、話す事も…ましてや動く事も出来なかった。


淳「さよなら、兄さん」


淳志が右腕を降り下ろそうとした時だった。


夕「やめてぇ!!」


遊「!?」


夕花が遊志の前に立った。