夕「どういう事?だって、瞳ここに来た事ないって…」

瞳「最初は全然思い出せなかったんだけど……。今、頭の中に浮かんできたの……。年は…多分5歳くらいの時で…お母さんとお父さんが仕事してた…………」

幼い頃、両親がこの研究施設で何かしてた。


あの時はよく分からなかったが、今なら分かる。


きっと、抗体を作ってたんだ…。


未知のウィルスとかなんとかって言われて……。


祐「やはり、お前の両親が抗体を……」


ウチはコクリと頷いた。


流「えっと…さっきの子はその…一体何者なの?」


流架さんの問いにウチは間を置いてから答えた。


瞳「彼は“ゼロ”…。ウチがここに居た時の友達…」

遊「友達?あいつが?」


瞳「うん。本当の名前かは分からないけど…名前を聞いたらそう答えたからそう呼んでた。凄く優しかったんだ…。ウチ泣き虫だったからよく泣いてたんだけど…その時、ずっと一緒に居てくれた。孤児だったみたいだけどよく笑う人だった。でも……」


夕「でも?」


夕花が聞き返す。


瞳「雰囲気が…変わった。髪も黒で、目は綺麗な海みたいな青だったし…何より…全然笑わなくなった。前はあんなに笑顔だったのに…」


流「さっきは髪が白くて目が金色だったし…微かに微笑んではいたけど……。みみちゃんは感情も理性も記憶すら無くなってたけど…彼は瞳ちゃんの事、覚えてたみたいだよね?」


瞳「はい…。名前も呼んでくれましたし…」


祐「しかし…。最初に現れた時に感じたのは殺気だった。あの目も…虫けらを見るような目で私達を見てたしな…。ただ、佐野を見る時は違かったが…。なんにせよ…多分お前が知ってる奴とは違うと思った方が良い」


祐騎さんが言う事はもっともだ。


本当に昔とは違う雰囲気だった。


でも……簡単に切り捨てたくない。


瞳「…あっ!」


ウチはもう1つ大切な事を思い出した。


夕「わっ、何?」


瞳「祐騎さん、コレ…」


ウチは胸にしてた、さっきのペンダントと酷似してる銀のペンダントを取り出した。