ガシャン!


南京錠ごと、扉を倒した。

「!?なっ…!」


近くに居た警備員が銃を出す前に腹を殴る。


「ぐっ…」


ドサッと倒れ込だ。


み「こっち……ハァ…急いで…。これ以上警備員来ると面倒だし…あいつに…見付かると…厄介…だから……」


そう指差したのは天井の換気口。


涼「えっ、でもここちょっと高いかも……」


ジャンプすれば届くかもしれないが蓋があるし、そっから上れるか分からない。

み「じゃあ…僕が先に…上に…行くよ……。そしたら…手…伸ばすよ…」


涼「えっ?でも届く?」


み「だか…ら…今の僕は…普通じゃ…ないんだってば……」


涼「う……ゴメン。てか、女の子に先に行かせるなんて……気がひけるんだけど…」


しかも女の子にサポートしてもらうなんて……。


俺がそう言うとみみちゃんは微かに笑った。


み「ハァ…気にしなくて……良いわよ………」


そう言うと近くにあった消火器を取って天井の換気口の蓋目掛けて投げた。


ガシャ!


蓋がなくなった瞬間みみちゃんが換気口までジャンプした。


人間離れの運動神経だ。


み「ハァ…ゲホッ…掴まって……」


まだ変形も何もない左腕を差し出した。


俺はその手に掴まる。


涼「わっ!」


ひょいと持ち上げられてつい声を出してしまった。


まるで軽い物を持ち上げる感じで引っ張られたからだ。


俺は身長176cmで56kgだから特別太ってるわけではないと思うけど特別軽いわけじゃない。


やっぱりウィルスの影響は強いみたいだ。


涼「ゴメン。ありがとう」

それだけ言った。


と言うか他になんて声をかけていいのか分からなかった。


み「良い…ってば……。それより…こっち…よ。急いで……」


涼「うん。分かった」


こうして換気口の中をズリズリと進んだ。