―裕大 Side―


裕「宏之!!」



あいつが外に飛び出したのと同時に俺はドアまで走る。もう離陸していた。



宏之は完全に外に出てる。



俺が名前を呼ぶとあいつはこっちを見て微笑んで……そのまま化物と一緒に下に落ちてった。




俺は呆然と立ち尽くすしか出来なかった。




み「裕大?富恵は…?」



みみが聞いてきた。俺はそのまま左右に首を振った。


み「うそ……なんで…」



涼「富恵…お前まで……」


瞳「どうして……」




機内はさっきの乱闘が嘘のかのように静けさに包まれている。




裕「……あいつ……。くまちゃんを守れなかったから……代わりに俺等を守ってくれたんだ……」



俺はその静けさの中、口を開いた。



裕「昔っから…そうなんだよ。…見てて……気の毒なくらい…責任感が強いんだ……。だから……あんな事したんだ……」




バーカ……



こんな早く死んでんじゃねぇよ…



み「富恵…武器置いてって…」



裕「うん……多分あいつ…俺等が武器ないと……困ると思って…サバイバルナイフ1つで…あの化物に立ち向かってたんだ…」



瞳「そんな……」



瞳は目に涙を一杯溜めて下を向いた。




―堀北さん守れよ……―



さっき言われた言葉を思い出す。



分かってる…分かってるよ


俺は…一生懸命守るよ



だから……



お前は…安心して天国行け…な



俺は目を細めて空を見た。


皮肉な程晴れ渡った青空を……