夕暮れ時────


学校が終わり、
あたし―綾瀬 明はいつものように、
友達とたわいもない話をしながら
帰路についていた。


主に恋バナだったりする…
正直あたしは話についていけない…


だって好きな人なんて、
あたし16年間生きてきたけれど
一度も出来たことがないんだもん。


そう言ったあたしに、みんなは

「明ちゃんはそのままでいてね」

と生暖かい目を向けそう言った。

…完璧に子供扱い。


けど、あたしは話にはついていけなくても
みんなが幸せそうに笑って
話す顔を見るだけで十分。



…でも、恋をしたら幸せになれるのかなぁ?


「おーい、明ちゃん?帰り道違くない?」


「あ、本当だ!!」


いつの間にか分かれ道まで来てたらしく、
友達に声をかけられてハッと我に返る。