「俺は男だろ、愛する者を護るのが役目だろ。将来それも、遠く無い未来に今、俺と一緒に成ることで、この子が不幸になるかも知れないと言う可能性が少しでも、有るのならやはり」と言うと、
「だから、そこから先は私の人生でしょう。何でそんな先まで考えるの」と、涙をボロボロ零しながら訴えて来た。潤子はこの話しが始まった時から起き上がり成り行きを見ていたが泣いていた奥さんも涙ぐんでいた。
俺は、店長と奥さんの方を向き直り正座をして、
「店長、奥さん頼みが有ります。今聞いていた様に、俺の病気は肺ガンで治らない様です、それにこの先も永くない様です。俺は愛美と一緒に成りたいのですが、俺が居なくなった後が、とても心配です。そこで、二人に後見人になってもらえませんか。それから」と、潤子の方を向くと、
「潤子にも、頼みが有ります。これからもずっと、愛美の側に出来るだけ居てやってくれないか」
と、言うと潤子は、
「私なんかで良ければ、
力になりますよ。あんちゃん」と答えてくれた。
もう一度、店長の方に向き直り、
「お願い出来ますか」と、聞くと、
「当たり前だろう。その位言われなくても、なっ」と、奥さんの方を見た。
「ケン、現実的でごめんね。でもね、男は夢に向かって歩けるけど、女は現実にしか向かって行けないのよ、だから余計に愛美ちゃんが、ケンより苦しくて、辛くて、悲しい、思いを沢山して来たはずだから」
「判りました。書きます。それでは、店長、奥さん、潤子が証人になってください」と、言うと愛美と向かい合って、
「愛美、今聞いた通りになったから、俺と結婚してくれ、俺は全力でお前を、愛し続けるから、苦しい、辛い事も有ると沢山有りますがよろしくたのむ」と、言うと
「本当に私なんかで良いのですか。私のような、ふつつか者でよろしかったら、お願いします」
と、言いながら書き終わった婚姻届けを、俺の方に滑らせた。
俺も書き込み店長夫婦も書き込んだ後一組を、誰にするかで、悩んだが愛美が入っていた無線のクラブの会長の所に行って、お願いする事にした。
それが決まると、店長がどこかに電話を、かけていた。