…俺は誰かが君の話をするのが面白くない。

誰かが君を見ることも面白くない。


話しかけることすら出来ない俺が、君の話題が出るだけで嫉妬する。

それはすごくおかしなことだろう。


しかも、それが俺の友達なんて。
尚更イヤだ。



…君が誰かのものになるなんて絶対イヤだ。


そんなことばかり考えてしまう俺は馬鹿だと思う。


隣でまだブツブツ言っている粋を見ながら大きなため息をついた。

(本当、俺の頭の中どうかしてるよ…)


『あっ!思い出した。』
粋がまた大きな声をあげた。

『はぁ…今度はなんだよ?』

『名前だよっ。あの子の名前。思い出したんだよ!』
粋はお菓子を目の前にした子供のような目をして…


『吉川美和ちゃんだよ!!』


(ヤバッ。コイツ声でかいんだよ!)




俺は祈るようにしてゆっくり後ろを振り返った。