朝陽のもっと向こう側

圭悟「で、さっそくだが本題だ」

祐司「あぁ、なんだ?」

圭悟は一口二口、ビールを口に入れた後に言った。

圭悟「お前は・・・このまま彼が美緒に会いに来ることを良いことだと思うか?」

祐司「彼・・・というと、白石くんか」

圭悟「もちろん俺やお前、彼自身にとってではない。 美緒にとってだ」

祐司「・・・」

圭悟「美緒のこの間の検査結果が出た。 正直、芳しくはなかったよ」

祐司「・・・そうか」

圭悟「あの二人も、お互いを近くに感じるようになればなるほど傷ついてしまうのは確実だ。
   それが二人にとって良いことだとは断言しにくい」

祐司「それで俺に意見を聞きに来たのか?」

圭悟「自分でも情けない話だがな」

祐司「いや、そんなことはない。 難しい問題だしな」

圭悟「それに・・・」

祐司「ん?」

圭悟「お前自身、まだあいつと美緒を重ねているんじゃないか?」

祐司「・・・そんなことはない」

少しだけ語気を強めて言った。

圭悟「それならいいが・・・」

祐司「とにかく俺は、今はまだあの二人にあれこれ言うつもりはない。
   しかし、いずれは考えなければならない。
   その時に、できるだけ傷を負わないように・・・そう考えていくしかない」

時間は無情にも過ぎていく。
それを止めることは誰にも出来ない。

だったら・・・せめて傷は浅いほうがいい。

もう二度と、あんなことはごめんだ・・・

祐司「白石くん・・・君は、俺のようにはならないでくれ」

祐司「過ちを、繰り返すなよ・・・」

・・・

・・・