朝陽のもっと向こう側

コンサート会場前。

あゆむ「初めてこういうところに来たけど・・・すごいね」

会場には今までに見たことのないほど大勢の人で混みあっていた。
この一人一人を見ると改めて実感する。
彼の人気を。

でもそれだけじゃないのだろう。
もちろん会場に集まっているのは彼のファンだろうが、
門崎祐司はもともと何人かのメンバーと共に活動していた。
だから彼の人気の裏では様々な因子が影響していると考えられる。

・・・

・・・

コンサート会場。

慎二「時間ギリギリだったみたいだね」

メグ「あと30分後には開演かぁ・・・」

あゆむ「そういえばメグ、門崎のファンだったっけ?」

メグ「それほどでもないんだけど・・・美緒ほどじゃないしね」

尚人「美緒? 誰だ、それ」

メグ「あんたは知らなくてもいいの」

メグが尋ねてきた尚人に、掌を向けて制止させる。

仲間と話していると30分なんてあっという間だ。
そうこうしているうちに開演時間になった。

彼がステージ上に現れただけで、客席から歓声があがった。

そして、数曲アップテンポな曲を歌った後・・・

祐司「・・・」

祐司「もう10年ほど前になる。 ある人が残してくれた歌詞のない曲。
   いつしかその曲にも詞がつき、みんなが歌ってくれた」

あゆむ「・・・何の話だ?」

メグ「ある曲を歌う前に、彼が必ず話すことよ」