朝陽のもっと向こう側

メグ「とにかく詳しい話は後。 あんたは今から一度家に帰って、着替えたらすぐに学校に戻ってくること!」

あゆむ「え? どうして?」

メグ「拒否権はないから」

そんな一方的な・・・

あゆむ「だいたい、どうしてメグ達が僕の予定を勝手に決めるのさ!?」

メグ「夏希さんの命令だから」

あゆむ「喜んで行かせていただきます」

メグの口から、あの人の名前が出た瞬間に
僕の正義は死んだ。

僕はそのまま急いで学校を出て、
通学路を家に向かって疾走する。

白石家自宅。

あゆむ「ただいま~!! ・・・いってきます!!」

1階で夕飯を作っていた母さんは不思議そうな顔をしていた。

再び家を出て、今来た道を引き返す。
全力疾走。
たぶん・・・立ち止まったら二度と走れないんじゃないか?

結城高校正門前

あゆむ「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

必死に息を整える。

慎二「相当急いだみたいだね・・・」

尚人「こんなに早く戻ってくるなんて思わなかった・・・」

メグ「あゆむにとって、夏希さんがどういう人かよくわかったよ・・・」

3人はそれぞれ既に私服に着替えており、
揃って膝をついている僕を見ていた。

あゆむ「・・・どうして、3人とももう着替えているんだ?」

さっき見たときは3人とも制服だった。
それに、慎二の場合、僕よりも家が遠い。
だから、あれから帰ったとしても少なくとも僕より学校に着くのは遅く、
仮に先に着いていたとしても、僕のように息を乱しているはずなのに。

涼しそうにしている・・・

メグ「最初から私服を持ってきていたのよ。 だから帰ってないの」

あゆむ「・・・」

この瞬間、僕はこの3人に奇妙な距離感を感じたのは錯覚ではないだろう・・・