朝陽のもっと向こう側

夏希「え、なに? どういうこと?」

あゆむ「えっと、夏希さんの後輩・・・ってことはないか。 たぶん先輩だと思うんですけど、小泉真智や門崎祐司って人知っています?」

夏希「小泉真智に、門崎祐司?」

あゆむ「その人たちが結城にいたから、在学生の僕たちにも先輩を見習え・・・みたいなことを言うわけです。 ほんと、困ったものですよ」

夏希「へぇ~。 君、その人たちのこと嫌いなんだ?」

あゆむ「え? まぁ、会ったことないけど、たぶん好きにはなれないでしょうね。 嫌いなんだと思います」

夏希「ふぅ~ん・・・そっかそっかぁ」

夏希さんはニヤニヤしている。
この人は初めて出会った時からずっとこの調子。
何がおもしろいんだろう?

あゆむ「僕、またおかしなこと言ってます?」

とりあえず聞いてみた。

夏希「え? うぅん、べつに~」

夏希さんはそう言う。
この顔はきっとどんなに頼んでも教えてくれそうにない顔だ。

???「あれ? 夏希ちゃん、ここで何してるの?」

談話室の前にあるエレベーターから1人の女の人が降りてきた

夏希「あ、いいところに来た!」

夏希さんがその人を呼び止めた。

夏希「明日香~、ちょっと来て」

夏希さんに明日香と呼ばれたその人が、僕たちのところにそのまま歩いてくる。

明日香「今日、日勤だったんでしょ? もう終わったんじゃ・・・?」

夏希「うん、で、ちょっと休んでいたってわけ」

明日香「サボってたんじゃないの?」

夏希「そんなわけないじゃん。 これもれっきとした情報収集の一環だよ。 この子からね」

明日香「え、あ、そういえばこの子は・・・?」

あゆむ「え、えっと初めまして。 白石あゆむって言います」

明日香「白石さん?」