朝陽のもっと向こう側

そして、お婆ちゃんの入院した病棟に来た。

??「はい、着いたよ。 病室はわかる?」

あゆむ「あ、えっと、わからないです」

??「あ、じゃあそれも案内するよ。 それで、君の名前は?」

あゆむ「あ、そういえば言っていませんでしたね。 白石って言います」

??「白石? あぁ、白石さんのお孫さん? なんだ、そうだったの!」

あゆむ「え?」

??「あぁ、あのね? 白石さんのところにさっき行ったんだけど、お孫さんが来ること聞いていたからさ」

あゆむ「あ、話したんですか?」

??「うん。 嬉しそうだったよ? じゃあ、行こっか」

・・・

・・・

??「白石さ~ん、失礼しま~す」

看護師さんに続いて病室に入る。

祖母「あら、夏希ちゃん。 今度はどうしたの? ・・・あら?」

夏希「お孫さんが来ていますよ。 さっき偶然そこで会って」

あゆむ「お婆ちゃん、急に入院したって聞いて心配したよ」

祖母「そんなに心配することもないのに」

お婆ちゃんはそう言いながらも嬉しそうにしている。

夏希「優しいお孫さんですよね~」

祖母「なんなら、夏希ちゃんが貰ってくれるかい?」

あゆむ「ちょっとお婆ちゃん!!」

お婆ちゃんが笑いながら言った。

夏希「あはは! そうだったら嬉しいんですけどね~。 こんなに若い男の子なら」

あゆむ「え!?」

夏希「でも、君は私みたいなおばさんはイヤじゃない?」

その看護師さん、夏希さんは笑いながら言う。

あゆむ「えぇ!? えっと、その・・・」

夏希「何本気になってんの。 冗談よ、冗談」

夏希さんはくすくすと笑う。

夏希「白石さん? 何も心配いりませんよ。 お孫さんもすぐに可愛い彼女連れてきますから。 曾孫の顔を見れる日も近いですよ~?」

あゆむ「ちょ、ちょっと!!」

それから数分の間、夏希さんとお婆ちゃんはしきりに笑っていた。
僕だけはただ驚いたりつっこんだりで、
夏希さんが「また後で来ますね」と言って病室を出る頃には、疲れ果ててしまった。

そして、しばらくお婆ちゃんの病室で話した後、僕は病室を出た。