朝陽のもっと向こう側

病院。

えっと、確か7階だって言っていたな・・・

あゆむ「そういえば中に入るのも初めてだな。 エレベーターどこにあるんだろ」

少し歩いてみても、それらしいものは見当たらない。

あゆむ「・・・もしかして、階段しかないってことないよね?」

それよりも、今いる1階にはほとんど人がいない。
どうして?

??「きみ、こんなところで何してるの?」

あゆむ「え?」

後ろから声をかけられた。
一人の看護師さんが立っていた。
ナース服の上から紺のカーディガンを羽織っているため、名札は見えなかった。

??「あ、ごめんね。 他のスタッフからも敬語使えって言われるんだけど、私、昔から敬語って苦手でさ」

あゆむ「あ、いえ、別にいいです。 その方がいいって言う患者さんもいるかもしれないし」

??「そうなのよね~。 変に敬語使うの嫌がる人もいるし、それに私には似合わないからね」

その看護師さんはそう言って苦笑した。

??「それで、君はここで何してるの?」

あゆむ「えっと、祖母が入院したらしいんですけど、エレベーターが見当たらなくて・・・」

??「え? あぁ、あはは!!」

あゆむ「え? えぇ!?」

看護師さんは急にお腹を押さえて笑い出した。

僕、何かおかしいこと言った?

??「エレベーターなんて、こっち側の棟にはないよ。 ここは透析センターだけだもん。 1階しかないよ」

そう言ってまた笑った。

あゆむ「え? じゃあ・・・」

??「うん。 一度建物出た方がいいかもね。 私も病棟に戻る所だから、案内しようか?」

あゆむ「だったら、ぜひお願いします。 もう迷いたくないので」

そしてまた笑った。

本当に感情表現が豊かな人だな。

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