Rain

『ちょっとトイレ行ってくるね』




あたしは席を立ちトイレに入った。

カウンターだけのバーで静かなせいかマスターと聖夜くんの話し声が聞こえてくる。




『あの時はすんませんでしたほんま…』

『いやいや大丈夫ですよ。若いうちは色んなことがあるもんやさかい』

『まぁ…』

『彼女のタイプ変わりましたね』

『えっ?』

『いやぁ…前に一緒だった方はものすごぉ気がきつそうやったから』

『あぁ…ちゅーか彼女ちゃいますよ今日の子。同僚の友達なんっすよ』






同僚の友達…。

そうや、あたしは陸の友達。

聖夜くんにとってはただの知り合い程度。


なんでやろ…
ちょっとだけキュッって胸が締め付けられたような気がした。