『あのね、そえ。あなたに出来る事って、ちゃんとあるのよ? それは今じゃなくて、来るべき時の話。だからごめんね』
「……気を遣わなくたっていいですよ。やれる事があるなら、それで」
『珍しいね』
「え?」
『いつもならさ、何もないからって言ってのけるだけなのにね、今回はどうして、何もないそえが頑張ろうとするんだろうね』
「それは……」
『深くは聞かないよん。でも私は嬉しいかなぁ。これが引き金になってくれれば、私は嬉しい』
「……喜んで貰えるなら」
『まあ、オマケだよ。大丈夫。かなちゃんも明洲さんも、私が何とかするから、2週間後、手伝って』
「分かりましたよ。じゃあ帰りますから、あの、切符……」
『赤羽に連絡しとくから、貰っといてねー。んじゃっ』
やっぱりいつも通りに一方的に電話が切られ、添は溜め息を零した。振り返った先には、抜け殻のような明洲。
何も無い自分が、何かある他人に干渉したいと思うこと。その感情自体が珍しいものだし、ひょっとしたら今まで無かったものかもしれない。
「あんたには、また書いてもらえるようにするから」
根拠も無く明洲にそう言って、添はアトリエを出た。
「……気を遣わなくたっていいですよ。やれる事があるなら、それで」
『珍しいね』
「え?」
『いつもならさ、何もないからって言ってのけるだけなのにね、今回はどうして、何もないそえが頑張ろうとするんだろうね』
「それは……」
『深くは聞かないよん。でも私は嬉しいかなぁ。これが引き金になってくれれば、私は嬉しい』
「……喜んで貰えるなら」
『まあ、オマケだよ。大丈夫。かなちゃんも明洲さんも、私が何とかするから、2週間後、手伝って』
「分かりましたよ。じゃあ帰りますから、あの、切符……」
『赤羽に連絡しとくから、貰っといてねー。んじゃっ』
やっぱりいつも通りに一方的に電話が切られ、添は溜め息を零した。振り返った先には、抜け殻のような明洲。
何も無い自分が、何かある他人に干渉したいと思うこと。その感情自体が珍しいものだし、ひょっとしたら今まで無かったものかもしれない。
「あんたには、また書いてもらえるようにするから」
根拠も無く明洲にそう言って、添はアトリエを出た。
