タレントアビリティ

「当たり前ですよ」

 そんな声が、簡単に出せた。

『……それでこそ。んー、ま、かなちゃんには秘密ね? どーせこの事だってかなちゃんは私に秘密にしたかったんだろうけど、そえが私に頼らないはずないんだもんねぇ』
「そうですけど」
『ニャハハ、ならいいわ。私をこーんなに信頼してくれてるそえのために、頑張っちゃうわよー。じゃあやることは……。あー、とりゃーえずっ、帰って来て』
「はい?」
『家に帰って来てよ。明洲さんは放置しといていーから、まずは帰って来て』
「え、あの、俺の役割は?」
『2週間後にあるわ。それまでは、まあ、いつもどーりのスクールライフをお楽しみーって事で。そーねぇ、9月末くらいには楽しい楽しいお仕事があるわよ。それまで休暇ね?』
「……そうですか」

 意気込んだ途端に切り捨てられた気分だった。2週間後にはきちんと役割があると聞いてとりあえず安心したのだけれど、また些細なものかもしれない。
 例え添にとって大きなものであっても、能恵にとっては些細なものなのだろうけど。世界レベルで駆け巡る能恵と同列に扱って貰おうということ事態が、ひょっとしたら間違いかもしれない。