「それが……。明洲さん、クビになったみたいで……」
『はい?』
「いやそのまんまですよ。で、今京都にいてですね、要さんに『とりあえず明洲に会え』って言われて来たはず何ですけど、何か要さんが好き勝手言うだけ言って終わって、取り残されまして……」
『かなちゃんが明洲さんをクビに? それ、ホントなの?』
「だから募集されてるんですよ。肩書も何もかもを今の明洲さんから奪って、で、会社に戻ったのかどうかは知りませんけど、さっさと1人で帰っちゃいました」
『あのバカぁ……。昔から無駄に行動は早いから、困るのよねぇ……。うん、分かったわ。私にいい考えがあるから、とりあえず協力してくれない?』
電話の向こうで、能恵がきゃらきゃらと笑うのが聞こえた。 こうなった以上彼女を止める事は出来ないし、いつも通りに振り回されるだけしかない。能恵の才能の赴くがままに、添を使って楽しむ能恵。
しかし今回ばかりはそれでもいい気がした。空っぽになった明洲をちらりと見る。自分が大好きだった作家。この学生時代に彼の作品に出会えてよかったと、思えるような作家。
『そーえっ、どーっち?』
彼が今抜け殻のようになってしまっていて、もう物が書けなくなってしまっていて。
彼を助ける事が出来るのが、外ならない自分なのだとしたら。
『はい?』
「いやそのまんまですよ。で、今京都にいてですね、要さんに『とりあえず明洲に会え』って言われて来たはず何ですけど、何か要さんが好き勝手言うだけ言って終わって、取り残されまして……」
『かなちゃんが明洲さんをクビに? それ、ホントなの?』
「だから募集されてるんですよ。肩書も何もかもを今の明洲さんから奪って、で、会社に戻ったのかどうかは知りませんけど、さっさと1人で帰っちゃいました」
『あのバカぁ……。昔から無駄に行動は早いから、困るのよねぇ……。うん、分かったわ。私にいい考えがあるから、とりあえず協力してくれない?』
電話の向こうで、能恵がきゃらきゃらと笑うのが聞こえた。 こうなった以上彼女を止める事は出来ないし、いつも通りに振り回されるだけしかない。能恵の才能の赴くがままに、添を使って楽しむ能恵。
しかし今回ばかりはそれでもいい気がした。空っぽになった明洲をちらりと見る。自分が大好きだった作家。この学生時代に彼の作品に出会えてよかったと、思えるような作家。
『そーえっ、どーっち?』
彼が今抜け殻のようになってしまっていて、もう物が書けなくなってしまっていて。
彼を助ける事が出来るのが、外ならない自分なのだとしたら。
