それからしばらく経って、そろそろ3時のお菓子タイムかという頃に、車は古の都へと着いた。赤羽出版の駐車場に、要と添はいる。
ベンツから降りた要に着いていく添。近場の地下鉄目指して歩いているようだった。
「地下鉄ですか?」
「車は混むからね。赤羽の社長だろうが何だろうが、公共の交通機関を使うのが京都の流儀」
「ってか、目立ちますよね、それ」
真っ赤な背広を指差しながら添は苦笑いする。しかもサングラスまで装着していると来たものだから、これでは浮き浮きで仕方がない。
しかし要は止まらなかった。ずんずんと地下鉄の駅へ降り、周りから好奇な目で見られながらもさっさと改札を抜けてホームへ出てしまう。威風堂々としたたたずまいで、逆に驚く。
「赤い背広くらいいいだろう。あっちゃんなんていつも真っ白じゃないか」
「白はまあ……。でもさすがに赤は、目立つでしょうに」
「赤を馬鹿にするなよ? 赤は情熱の色であり、返り血を浴びても何も問題が無い」
「リアルですね」
「ただまああっちゃんも、たまに白が赤になる」
「……やっぱりそうですか」
自分の知らないところで血染めになる能恵が、今だけリアルに想像出来てしまった。
真っ白なワンピースに赤を零し、シルクのような髪に赤の斑を染め、白い肌に似つかわしくない赤が滲み、悲しげに笑う能恵。妙にリアルで、辛かった。
ベンツから降りた要に着いていく添。近場の地下鉄目指して歩いているようだった。
「地下鉄ですか?」
「車は混むからね。赤羽の社長だろうが何だろうが、公共の交通機関を使うのが京都の流儀」
「ってか、目立ちますよね、それ」
真っ赤な背広を指差しながら添は苦笑いする。しかもサングラスまで装着していると来たものだから、これでは浮き浮きで仕方がない。
しかし要は止まらなかった。ずんずんと地下鉄の駅へ降り、周りから好奇な目で見られながらもさっさと改札を抜けてホームへ出てしまう。威風堂々としたたたずまいで、逆に驚く。
「赤い背広くらいいいだろう。あっちゃんなんていつも真っ白じゃないか」
「白はまあ……。でもさすがに赤は、目立つでしょうに」
「赤を馬鹿にするなよ? 赤は情熱の色であり、返り血を浴びても何も問題が無い」
「リアルですね」
「ただまああっちゃんも、たまに白が赤になる」
「……やっぱりそうですか」
自分の知らないところで血染めになる能恵が、今だけリアルに想像出来てしまった。
真っ白なワンピースに赤を零し、シルクのような髪に赤の斑を染め、白い肌に似つかわしくない赤が滲み、悲しげに笑う能恵。妙にリアルで、辛かった。
