タレントアビリティ

「家族をそんな風に見ないの。結局1番分かってくれる存在で、1番近い存在。欝陶しい近すぎるって思ったりするけどね、それは、よろず君をきちんと思ってるからなのよ」
「……そうですか」
「今の年頃じゃ分からないのも仕方ない。けど、私みたいな人にならなければ、家族の大切さ、ありがたさ、掛け替えの無さを知るの。まっとうな人生を歩みなさい、よろず君、そえ」
「俺?」
「そーよそえもよー。あなたね、私に頼りっぱじゃダメなの」
「……俺からしてみれば能恵さんって家族みたいなものですけどね」

 添のそんな呟きが能恵の耳に飛び込む。それが原因としか考えられない。能恵の白にうっすらと朱が浮かんだ。
 万と添はそれを目にして不思議な感覚を覚える。ああ、そういえば能恵さんも人間だよなあ、とそんな具合に。

「……照れるわよ」
「能恵さんも照れるんですねぇ、いやーいいもの見たわー、ラッキー」
「私だってれっきとした血の通った人間よ! もう! よろず君は私をどんな風に見てるのよ!」
「サイボーグ?」
「しまいにゃおっぱいミサイルでもぶっ飛ばせばいいのかしら?」
「そんな胸ありま……、ぱがっ!」

 醤油皿を思い切り頭にたたき付けられた万が倒れ伏す。もちろん皿を割るような真似はしない能恵。
 添はそんな様子を生暖かい目で見ていた。能恵のふざけ調子は、万の前だと上がる。

「そえも何か言いたげねぇ?」
「何も? 万と同じ末路はお断りですから」
「……殴られる?」
「お断りいたします」

 そして飛び火の危機に曝されるのも添なのだ。